僕らforCreatorsは、TikTok Shopに特化した動画制作を法人向けに月数百本ペースで回している会社です。このブログでは、その制作現場で実際に運用しているAI活用の仕組みを、できるだけ生々しいまま公開していきます。
この記事はその第1弾で、「Claude Code」というAIツールを制作オペレーションに組み込んだ話です。導入によって、1本あたり約2週間以上かかっていた制作フローが約1週間に短縮され、必要な人的リソースが半分以下になりました。「AIでこんなこともできます」というデモの話ではなく、大手ブランド向けの納品を毎月回している実際のオペレーションの話として読んでもらえたら嬉しいです。
Claude Codeとは何かをざっくり言うと、AIにチャットで「質問する」のではなく、AIに「仕事をやってもらう」ためのツールです。ChatGPTのように1回ずつ質問して回答をもらうのとは違い、「この手順でやっておいて」と指示を出すと、ファイルを読んだり、データベースに書き込んだり、他のツールと連携したりしながら、一連の作業を自動でこなしてくれます。
この記事で分かること
- Claude Codeを「質問ツール」ではなく「仕事を任せる仕組み」として使うと何が起きるか——制作リードタイムが約2週間→約1週間、人的リソースは半分以下に
- 実際にAI化した5つの工程の中身(参考動画スキャナー / 台本生成 / 撮影指示書 / 素材スキャン&マッチング / 動画チェッカー)
- 工数削減以上に効いたのは「品質のブレが減った」こと。AIが叩き台を作り、人間が最終判断する構造への転換
自己紹介
ハリーです! forCreators Pte. Ltd.という3期目の会社の代表をしています。
TikTok Shopに特化した動画制作をベースに、TikTok Shop支援の事業をやっています。ブランドや販売事業者から商品を預かり、TikTok Shopで「売れる動画」を研究・制作・納品しています。
事業としてはTikTok Shop周辺で色々と展開していますが、特に動画領域は最近、TTO (TikTok Organic) 界隈と合わさって、かなりカオスな面白い感じになってきており、弊社は日本ローンチからずっとここに力を入れています。
たとえばこの動画だけで、成果報酬単価2,000円の美容液が4,500本以上売れてたりします(Kalodata調べ)。
出典: TikTok Shopデータプラットフォーム「Kalodata」(https://www.kalodata.com/)
この方がそのまま掛け算で報酬もらってるかは知らないですが、計算してみたらヤバスギ...
これ以外にもいろいろ仕込んでいるのですが、今日はこの動画制作事業の話をさせてください。
Before:実写×人力で全てを回している
映像をAIにして人が不要になりました!みたいな話をしたいのではなく...
僕らは今も実写しかやっていません。
直近のトレンドとしてAI生成の動画も増えていますし、そこに大きな可能性を感じている部分はあります。ただ、大手ブランドの立場から考えると、特に商品を使った映像を完全にAI生成にするのはまだハードルが高いんですよね。**「実写もAI動画もどちらも作れる会社が最強」**だと思っていて、まずは実写と人力ベースで全てのオペレーションを回しています。
体制はフリーランス中心の20人前後。ディレクター、ライター、撮影モデル、編集者。それぞれが役割を持ち、動画制作と納品を回しています。

1本の動画ができるまでの流れはこんな感じです。
- 戦略策定:TikTokで売れている参考動画のリサーチ、商品のリサーチ。これをベースに制作の方向性を固める
- 台本作成:ナレーション全文、テロップ文言、商品の出し方を1本ずつ書く
- 撮影指示書:台本を撮影チームが解釈できる形に変換する。アングル、背景、商品の見せ方をカットごとに指示する
- 撮影:実際の撮影・素材納品。商品撮るだけなら誰でもできるのですが、大手のブランディング的にもOKが出るレベルの丁寧な撮影をするのは、結構大変です...
- 素材整理:届いた大量の素材をどのカットに当てはめるかの整理
- 編集:編集者が参考動画をもとにTikTok受けする編集を施す
- チェック・納品:仕上がりを確認して修正指示、納品
人を増やせば本数は増えますが、それだと線形にしかスケールできない。一人当たりの本数を増やすと疲弊するし、構造的に大変!っていう感覚はずっとありました。
転換点:「ツールを使う」から「仕組みを作る」へ
AIを使うこと自体は、数年前からやっていました。台本の壁打ちをさせたり、リサーチの補助に使ったり。ただ、「それっぽいものは出るけど、そのまま大手に納品ができるレベルではない」というのがずっと正直な感想でした。
自社のアカウントとか個人向けの動画であれば全然良いのですが、法人納品向け、となると一気にハードルが上がるのがコンテンツ制作業の世界かなと思ってます。
ただ、仕組みとして「人間の動きや役割が切り替わるレベル」に到達したのは、**「Claude Code」**を触り始めてからです。
「AIに何かを聞く」のではなく、「AIが自律的に動く仕組みそのものを作れる」。この違いが決定的でした。制作フローの各工程に専用のSkill(自動実行される処理の単位)を作り込んでいったら、人が週5時間くらいかけていた仕事が、Claude Codeが作った新しいスキルで一晩のうちに消失してたりして、脳がバグりました。
After:AI化した工程の中身

約15個のスキル(あるタスクのスペシャリストのような存在)を組み合わせて動画制作が動いています。工程ごとに説明します。
2026年7月追記:この記事の執筆後もスキルは増え続けていて、編集工程の自動化も大きく進みました。その話は続編の記事で書いています。
Claude Code上で動くスキル達
参考動画スキャナー
- Before (30分):ディレクターが1商材あたりTikTokを見まくって参考動画を探し、台本などを書き起こす
- After (数分で完了):商品URLを入れる→ 参考になりそうな動画をリサーチ → 1本ずつスキャンして特徴や書き起こし・映像情報を全て分析
TikTokの動画URLを入力すると、全セリフの書き起こし、タイムスタンプごとの映像内容の把握、SE(効果音)・ナレーションの特定、話者分析が自動で出てきます。
参考動画DBの一部
映像分析の部分はGemini(Google API)を使っています。最初はFFmpegで動画をフレームごとに切り出してAIに渡していたのですが、GoogleのAPIは動画をそのまま「動画として」分析できます。動きや流れが読めるので精度が全然違っていて、初めて動かしたとき本当に驚きました。各動画に50以上のフィールドがついていて、フックタイプ、訴求軸、台本構造、強みポイント、再利用可能なフック、パフォーマー情報、音声分析、撮影スタイルなどが構造的なデータとして蓄積されています。人間が認知する以上の情報をDBに入れてくれるのが、何よりもすごい。
このスキャナーで今まで1,000本の参考動画を分析し、自社のDBに蓄積してきました。そのうち700本くらいの分析は、リストを投げて寝てる間に終わりました...
「なんとなく良い動画だ」で終わっていた分析が、全部データになってきました。これが後続のすべての起点です。
台本生成
- Before (30分):ライターが商品リサーチ、スクリプトやテロップイメージをフォーマットに記入
- After (3分):商品情報+参考動画を渡すと即生成
弊社では現状2つのモードがあります。
オリジナル生成モード:TikTokで成果が出る台本の型に当てはめて新しい台本を生成。クライアントの要望・目的に合わせてカスタマイズできます。
TTP(徹底的にパクる)モード:参考動画の構造・フレーズ・テンポをベースに、商品情報を差し替えて台本を作ります。「実績が出ているフォーマットで確実に回したい」ならこちらが早いです。
方向性を渡して、初稿を出してもらって、それを必要に応じて調整する。最初からいいものは出ないので、極力Claude上で修正指示をして、エッセンスを学んでもらってフォーマットややり方をブラッシュアップしてもらう。
撮影指示書・絵コンテ作成
- Before (めんどい):ディレクターがカットごとに手作業で作成
- After (10分):台本と参考動画をベースに自動でスライド生成
以前は色んな動画からスクショを撮って作ったり、テキストベースで丸投げしてたので、完成イメージがかなりズレてしまうことがあって、撮影後に「これはイメージと違う」という差し戻しが発生していました。
もともと使ってたスプシの撮影指示書
このスキルによって、台本のカットごとに「どういう絵を撮るべきか」を、NanoBananaProと組み合わせてスライドに落とし込み、この構図通りに撮れば良い、というのが直感的に見やすくわかりやすくなりました。
今の撮影指示書 (完全自動生成)
この辺は、ぶっちゃけ人間がやってもできるのですが、台本が固まった瞬間にこれも自動で生成される、っていうことを考えると、凄すぎますよね。
素材スキャン&マッチング (これ強烈)
- Before (素材によりけり):編集者が撮影された全素材を目視で確認、手動でカットに割り当て
- After (~10分):届いた素材を自動スキャン・タグ付け → 台本カットへ自動マッチング
撮影が終わると大量の素材が届きます。商品の物撮りだけでも、いろんなパターンがあり、商品を右から出してるのか、回してるのか、どの情報を見せてるのか、見やすいか、暗いか、無駄なものが写ってないかなど... この中で最適なものを選んで動画にしていくの、マジ大変なんですよね。
これを、Google Driveのリンクを渡せば、その中にある動画を全てスキャンして、タグ付け、名前の変更、分類をしてくれるようになりました。
AI命名の動画ファイル達
物撮り、使用シーン、Bロール(商品が写っていないカット)という感じで大カテゴリーの中に、さらにin/outポイント、quality_score、matching_keywords、motion_type、scene_moodなどのメタデータが自動でついていきます。
これにより、台本を渡せばそれぞれのカットでどの素材を使うべきか、「意味的マッチング」をして、その素材リンクとタイムスタンプを台本に書いてくれるようになりました。
AIが作ってくれた編集指示書
編集者が1つ1つの素材を見に行く必要も、ディレクターがぽちぽちコピペしたり整理する必要がなくなりました。これめっちゃ社内で感謝されてて嬉しい。
動画チェッカー
- Before:ディレクターが1本ずつ目視チェック、主観で判断
- After:AIが社内の評価軸に基づいてスコアリング+フィードバック → 最終チェックのみ人力
GoViral というアプリがあるのですが、TikTokでどれくらいバズるかをスコアリングしてくれるサービスで、裏側ではGoogleのGeminiを使っているらしいんですが、これに近いシステムを社内用に作りました。
社内で蓄積してきた評価軸をベースに動かしていて、運用の流れはこんな感じです。
- 編集が上がってきた動画をまずこのシステムにかける
- フック・構成・CTA・テンポなどの観点でフィードバックを洗い出す
- 必要に応じて修正をしてもらう
- 最終チェックを人の目でおこなう
以前は「なんとなく良さそう」「ここがちょっと気になる」という感覚的なフィードバックになりがちでしたが、まずAIに構造的に洗い出してもらうことで、チェックの精度と速度がかなり上がりました。
何が変わったか
工数が下がったことも大きいですが、それ以上に品質のブレが減ったのが効いています。以前は担当ディレクターによってのクオリティがまちまちでした。今はAIが叩き台を作り、人間が最終判断する構造になったので、一定のラインを保ちやすくなってきました。
出力に対して「そうか?」と首をかしげることは、まだあります。これまでは、まだAIの精度はこんなもんか〜みたいな人間主義的な整理をしてたのですが、今は心の底から、人間の使い方が悪いだけだ、と確信してます。
だからこそ今のうちからそれを前提とした仕組みを作ることに面白さを感じています。仕組みが先にあれば、モデルが良くなるたびに精度が上がる。インパクトの大きさをようやく実感し始めたというのが今の状態です。
最後に
完全自動化にはまだ至っていないのですが、やりたいことが爆発的に増えていて、AI駆動経営を目指して引き続き実験を続けます。
個人的な話をすると、今会社を始めて3期目で、なかなか過去の事業もうまくいかず、大きい事業を作るのってなかなか難しいなと感じて、情熱の火が弱くなりかけていたタイミングがありました。そんな中で、今のような革命の先端に入れるチャンスを得て、この3年間で、今が一番ワクワクしています。
以下に興味のある方、もっと教えてほしい!という方はお気軽にご連絡ください。
- TikTok Shop関連
- 動画制作
- Claude Codeの活用
X(@imharry_so)でDMお待ちしています!
この記事のオリジナルはnoteで公開しています(初出:2026年3月26日 / 会社ブログ向け再構成:2026年7月3日)。
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