SaaSに頼らず、社内ポータルを自作した話

公開日:5分で読めます
AI活用業務システム内製化

こんにちは、forCreators代表のHarryです!

3月に「動画制作フローの60%をAI化した話」という記事を書きました。あれから3ヶ月、Claude Codeを軸に、AI駆動のクリエイティブ制作という領域で、現場でとにかく検証と実装を重ねてきました。全部AIで、ではなく「AIを"活用して"高速で幅広く効果のあるクリエイティブをつくる」という領域では、正直かなり先進的なところまで来ている自負があります。

初日は、案件管理のスプレッドシートをやめて、社内ポータルを自作した話。特にエンジニアではない僕ですが、Claude Codeと一緒に、自社の業務にぴったり合うシステムを一つずつ形にしていきました。

Before:どこの会社にもある、あのスプレッドシート

うちも他社と同じで、業務管理も動画案件の管理も、ぜんぶスプレッドシートでした。

崩れたのは、月に数百本を納品する規模になってから。案件ごとに担当者・工程・納期・修正状況・クライアント要望などを細かく追う必要が出てきて、シートではなかなか追いきれない状態になっていきました。

当時のスプレッドシート管理のイメージ(画面はダミーデータで再現)

After:つくったのがこの社内ポータル

で、つくったのがこれです。

構成は3つだけ。

  • 社内ポータル(スタッフ全員が使う画面。Next.js製)
  • Supabase(データベース。全案件・全記録の置き場)
  • Claude Code(AI。これが作り手兼コックピット)

やったのは、Claudeに要件を日本語で説明すること。「案件ごとに工程と担当者と納期を管理したい」「止まっている案件がすぐ見えるようにしたい」——伝えた要件を、データベースの設計から画面まで、対話しながら一つずつ形にしていきました。

デザインはWebサイトのトンマナを Design.md として持っているので、特にガイドなくブランドに沿ったものが出来上がります。

ポータルでできること

① 進捗管理 — どの案件が、どの工程で、何日止まっているか

進捗管理(計画ボード)。画面はダミーデータ表示

1000件を超える案件をDBで一元管理。工程(台本→撮影→編集→提出)ごとに案件が並び、納期が近い順・止まっている日数つきで見えます。進捗は上書きではなく追記型のイベントログで記録しているので、「いつ・どの工程からどの工程へ動いたか」が全部残ります。

② カンバン — Trelloの代わり。ドラッグ&ドロップで進捗が変わる

カンバン(画面はダミーデータ)

Trello(トレロ)でやっていたことを、そのまま自社の工程に合わせて内製しました。カードをドラッグ&ドロップで隣の列に放り込むと、その場で案件のステータスが変わり、①の記録にも残ります。汎用ツールに業務を合わせるのではなく、自分たちの工程名の列がそのまま並んでいる、というのが地味に効きます。

③ リソース管理 — 誰が満杯で、誰に空きがあるか

リソース管理(画面はダミーデータ)

外注さんが多いとおすすめな機能です。弊社の多くの業務委託パートナーは、撮影モデルさんや、編集者さんです。いま抱えている案件数とキャパを可視化。緑=余裕/黄=ほぼ満杯/赤=超過で、次の1本を誰に振ればいいかが一目で分かります。「全員を100%稼働させる」のではなく、詰まりを作らないための画面です。

④ マイページ — スタッフ全員が「自分の番」がわかる

スタッフのマイページ(画面はダミーデータ)

スタッフそれぞれのページ。開くと「いま自分の番」の案件が納期順に並びます。「次なにやるんだっけ?」「何が優先だっけ?」の確認コストがゼロに。過去の担当実績もここに貯まります。どの業務をいつまでにする必要があるか、詳細情報も全て載っているので、ここだけ見れば仕事が進みます。

⑤ 稼働管理 — 打刻から月次の締めまでポータル内で完結

稼働管理。打刻を「いま作業する案件」に紐づけ、案件別に時間が積み上がる(画面はダミーデータ)

時給スタッフの打刻・月次の締め・承認までワンセット。特にこだわったのは、案件ごとの原価計算ができるよう、打刻と案件・企画カードを紐付けさせることで、どの案件に何時間かかったか、などが全てわかるようにしました。リモートで働くスタッフの稼働解像度も上がり、フィードバックもしやすくなりました。

⑥ 通知 — アサインしたら本人に飛ぶ

通知(ポータルのベル+Googleチャット)

案件をアサインしたら、担当者に通知が飛びます。ポータル内のベルに出るのはもちろん、普段使っているGoogleチャットにも同じ内容が届く。「ポータルを見にいかないと気づかない」をなくすための仕掛けです。修正依頼が戻ってきたとき、納期が近づいたときも同じように通知されます。

大事なのは、作って終わりではなく「育てる」こと

動くものができてからも、実際に使いながら改良を重ねる、というのをスタッフの声を聞きながらClaudeと一つずつ進めていきました。まだまだ改良したい点は山ほどありますが、時間をかけて育ててきたぶん、スプシとは比べ物にならないくらい自社の業務にフィットし、効率も大きく上がりました。

PMスタッフもClaude Codeを業務で日常的に使ってもらい、ポータルを直接触るだけでなく、Claude経由で進捗管理や案件登録ができたりなど、一人一人の生産性が爆上がりするツールを作れたと感じています。

スプシをやめて一番効いたこと

端的にいうと、自分たちに必要な機能を、必要なときに作って足していけるようになったことが、めちゃくちゃ大きいです。

「こういうの見たい」「こんな情報が欲しい」など、スタッフが業務をより効率的に進めていくために必要な機能をきちんと実装できる上、アドミン側として見たいもの・ダッシュボードなども形にできるようになり、ぐっと運営・経営しやすくなった印象です。

AI活用というとモデルの性能の話になりがちですが、実務ではその手前の、自社の業務データがAIに読める形になっているかのほうがずっと効きます。

最初にデータを棚卸してDBに入れていく部分は若干骨が折れますが、一度整えてしまえば一気に会社全体の生産性がわかりやすく上がる領域かと思います。

SaaSがなくなる時代に

今回つくった機能は、探せば近いSaaSがあるものばかりです。カンバンならTrello、稼働管理なら勤怠SaaS。でも、自社の業務に100%合うSaaSは存在しません。だから今までは「業務のほうをSaaSに合わせる」しかなかった。

いまは逆ができます。自社の業務に100%合うツールを、AIと一緒に立ち上げて、育てていく。——SaaSを選ぶ時代が終わって、社内ツールを自社開発するアプローチが当たり前になる。

forCreatorsでは、まさにこの「自社の業務に100%合うツールを、AIと一緒に立ち上げて育てていく」流れを、企業のみなさまと一緒に進めるAI導入・内製化支援を行っています。この記事のような社内システムの設計・開発から、動画や広告などのクリエイティブ制作まで。「うちの業務にもAIを取り入れたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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